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 旅のおまけ、それがホテルラベルです。海外では見るも美しいラベルが20世紀の初めから旅人に手渡されてきました。殆どが高級ホテルでしたから、それらを得ること、トランクに貼ることがステータスの証でもありました。
 時代を経てそれらの習慣は殆ど無くなり、コレクターはこぞって過去のそれらの逸品を求め手にして喜びを自らのものにしています。確かに半世紀以上たったそれらのラベルは今では表現できないような斬新で美しく時代を経ても輝いています。実際に手にしても、なるほど世界の人が欲しがる気持ちが良くわかります。

 日本ではどうでしょう。実際は海外と同様にホテルラベルは西洋式ホテルの登場と同時に発行されてきました。然し、当初のホテルは外国人専用であったり、あまりに高くて泊まれることが出来なかったりで、これらのホテルラベルは今日にはあまり伝えられてきませんでした。然しながら、タグラベル(紐付きのラベル)は旅館等でも古くから発行しており、これほどの多くのものを発行していきたのは世界でも希なことといえます。戦前においてはどのホテルも発行してきたホテルラベルも戦後となり、交通手段の発達、大衆化によってラベルはタグ式のものに変ってきてしまいました。日本独特のタグラベルにしてもこれくらいのものが(勿論一部ですが)あり、一堂にみてみるとそれなりに面白いものだと感じられるのではないでしょうか。

 タグラベルではコレクターの気持ちをくすぐるようなものがあまりありませんが、中には秀逸なものもあります。旅の思い出に手渡された、カバンに付けられたそれらの素敵なラベルを見るたびにその時の思いをよみがえらせてくれるのではないでしょうか。今日ではそんなものでさえ無くなってしまっている現状を寂しく思います。人はその一生の間にどれだけの旅ができるのでしょうか、決して多くないその機会のせめてもの思い出の品を宿は提供してもらいたいものです。そして残しておきたいと思うようなものであって欲しいのです。このサイトでは古いものが殆どですが、それらは今のものよりも味があります。何故今のラベルは味が無いのか、集めたいと思わないのか。それはひとえにデザインが関係していることは明白で、綺麗な写真などを使ったものがいかに陳腐で残らないものであるかということを知らなければならない。海外のどの優れたものでも有名なデザイナーが介在していたり、無名であっても、デザイン性に優れたものを作成してきたから、長い年月が経っても誰もが欲しいと思うものなのです。

 旅の思い出をホテルラベルに依存することは確かにおかしいことかもしれない。本来ならばアメリカで昔流行ったようなトラベルラベルのような地方ごとのラベルがあればいいのだが、日本ではスタンプがそれに代用されている。これほどのスタンプ文化も日本独特なものかもしれないが、安易で、稚拙なデザインにはこれらのラベルのような楽しみを得ることができない。だから、せめて宿が(どこかには泊まらなくてはならないから)そうした旅の思いを代表するものとして提供してくれないかと思うのです。そしてこれからラベルを作成するにも、これらの先人の優れたデザインを学び今日ならではの新しいものを残してもたいたいと思います。決して写真ばかりや(写真がいけないというのではなく、使い方)、マンガなどの幼稚なものではなく、美しいと思われるものを期待してやみません。これらのタグラベルを発行した宿の多くがもう既に廃業してしまってそれらの存在がこのラベルだけということもあります。その存在が全く忘れさられても、小さな紙片が往時を残す僅かなものともなります。実際、サイトを作るにあたり、それぞれのラベルの元を探す段階で全く記録が残らないところもあります。どこかのだれかは知ってはいるのでしょうが、時の流れの中でその存在は忘れさられてゆきます。有名な所はまだしも、無名の所はなおさらです。住所の明記は必要ですね。

 とかく、コレクションはただ集めるだけということが多く、実際ホテルラベルについてはその指針ともなるべきものはありませんでした。海外のラベルは多くのコレクターがおり、彼らの集めるべくラベルをこの場で披露できればと思っています。日本の物に関しては、コレクター市場が無いことと、ラベル自身が流通していないので、容易に集めることはできませんが、前述のように、旅の記念として是非とも集めるようにしてもらえたらと思います。この場では披露できませんが、日本にも優秀なホテルラベルは存在し、それらはホテル史の一部でもあります。それらは別の機会でご紹介いたします。このタグラベルであっても、それぞれをただ漠然と見るのではなく、それらの宿を訪ねるのもまた楽しいものです。今回のサイト作成過程においても、日本全国を旅したような気持ちにさえなります。今まで知らなかった場所に、多くの宿があり、多くの旅人が訪れているのだと思うと、日本も広いと感じます。現在も営業している宿など、ラベルからは想像できないような素敵な宿だったりして、多くの発見があります。是非同様に宿の旅をして楽しんでもらえればと思います。
 これからもまた欲しくなるようなラベルとの出会いがあれば旅もなお楽しくなることでしょう。