TOP
横浜グランドホテル
The Grand Hotel
1873-1923.9.1
横浜市山下町17-18番(住所は現在の位置)
 開業は明治の初めということもあり、その正確な歴史は長いこと明確ではなかったようです。沢譲氏の「横浜外国人居留地ホテル史」によって、今日その詳細な歴史を知ることができました。ホテル自身関東大震災で倒壊焼失してしまったこともあり、その存在自身もホテル史やこうした機会でもない限り知りえないことであり、興味も起きないことなのかもしれません。江戸から明治に、横浜の居留地という時代を経て大正12年までの半世紀この場所で開業していたグランドホテルは横浜に長旅の末たどり着いた多くの旅客の安堵の場所としてどれだけ多くの人達がその姿を見ていたことでしょうか。
 殆どが海外からの宿泊客ということもあり、このホテルのラベルはあまり日本では知られていないようです。収集した多くが旗のラベルであり、後期にはアメリカのラベルによく見られるダイカットのラベルとなって残っています。
 絵葉書の姿はもう100年近く前の横浜。今ではその面影が海岸通りに僅かにうかがえますが、居留地時代の横浜の繁栄ぶりは歴史博物館でも察することができるかもしれません。このグランドホテル以外にも、オリエンタルホテル(後のオリエンタルパレスホテル)、クラブホテルとその名はホテル史に登場してきます。それらは単に歴史の中でその名を読むだけだとその実感も涌きませんが、同様にこうしたホテルラベルを手にしてみると、当時の旅人のことがふと想像されてきます。日本でありながら、多くの異国人が往来した居留地の世界。彼らが実際にこの地を歩き、感じた港町横浜の情景は今日では想像も出来ないほどのどかな社会だったでしょう。その中にあってその壮観なるグランドホテルの様子も僅かに伝わってきています。絵葉書でしかそれらを知ることができませんが、海岸通にこれらの時代があったことを忘れてはなりません。
すぐ下の左側の絵葉書に見られるグランドホテルの後ろ手(向かって左手)のとんがり屋根の家は
ヘボン式ローマ字で名の知れたヘボン氏の邸宅でした。ここには昭和24年に氏の業績を記念し碑が建てられました。